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イカせ屋稼業
第7章 そのなな
『ああ、コメンテーターもやってたなぁ。
曽我アケミさん、作家もしてたよな?拓矢』



翔汰は以前聞いた(拓矢は養子だ)
という事情にドキリとした。

(言っていいのか甲斐さん!)

気を遣うとこなんじゃないかなぁと少しハラハラしていると……



『何年か前に50万部売れましたからね。
〔マドンナたちの逆襲〕が』
拓矢が顔色一つ変えず言う。。



翔汰はその様子から(あ、養子だから辛かったとかじゃないんだな)
と察した。




『え?!
あれ書いたの拓矢の母さんなのか………』

大学生の時に教授が授業に使って、
自分で購入して読んだ記憶がある。



現代日本で起こった性犯罪を交え社会分析し、
女性の自立を促進する内容だった。



『…………はぁ〜〜〜。』翔汰は後部シートにドサッと凭れた。。



『どした?』
拓矢が尋ねる。



『……イヤ、
平民出身は驚くことが多いなと思った。
大学の時に色んなヤツが居て、ある程度格差を知ってたつもりだったけど』



『翔汰、俺も平民だからダイジョーブ』
甲斐が後部座席に向けて左手親指を立てた。。




――バンワゴンがAホテルの裏口に停車した。


拓矢が降りていく。

『………拓矢っ』
翔汰は拓矢の肩を掴んだ。
『何?』
拓矢が振り返る。金髪がパサリと揺れた。

『………い、いや何でもない!
頑張れよ』


『分かってるよ』


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