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イカせ屋稼業
第1章 そのいち
柏木るい――勿論本名ではない――とやらは、
『え?蒼井……翔汰が相手だったの?
じゃあ、やります』

とケロリと言うではないか。
小さな顔。奥二重の瞳に、筋の通った鼻。少し大きめの口。
かわいい部類に入る。

『じゃあ、
撮影オフィスに行きましょうか♪』
甲斐が愉しげにるいを誘導した。
『ほら、翔汰。
お前エスコートしろ』

『あっ、はい。
行こ?』
肩を優しく抱きながら柏木るいを連れて行く。



翔汰は(あんだよ、
相手役伝えてねーのかよ)と内心憤慨した。


自分だと分かった途端にコロリと意思が変わるのも複雑である。


甲斐は、
柏木るいの契約事務所のマネージャー男性へ『あのさ?
相手役を言えば安心するパターン多々あるからね。
蒼井の場合は伝えてくれて構わないんだけど??素人さんなら先ずは〔安心感を与える〕のが僕らの仕事でしょ?』
腕を組み威圧感を含ませ笑いながら睨む。

マネージャー男性は畏縮し、
泣きそうだ。
『ももも申し訳ございませんっ……以後気をつけますので』

甲斐は、
縮こまる新人らしきマネージャー男性のスーツの肩に手を置いた。。

耳許に口を近づけ、
低い掠れ声で『………何なら俺が〔調教〕してやろうか?マネージメント込みで……』と囁く。

青ざめたマネージャー男性の耳にフッと息を吹き掛け、
『ジョーダンだっつの(笑)。
さぁ撮影可能だ。行くぞ』と毅然と表情を変えた―――――………

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