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イカせ屋稼業
第8章 そのはち
その日、
DVDレンタル屋が閉店する25時まで店頭にて売り続けた。




『はー、お疲れさん。
撤収するぞ………』
甲斐も暑さでバテ気味の様子。

片付けももちろん自分たち。
DVDレンタル屋の店長(不在時はリーダー)に挨拶をし礼を言い撤収する。



何時もは撮影時にスタッフが部屋を用意して、
自分たちは撮るだけだった。

(スタッフって凄いんだな…………)


改めて、
自分たちだけのチカラの小ささを思い知らされる。


『拓矢……?
あれ?居ない』

ワゴンに乗ろうとすると拓矢が居ない。


キョロキョロしていると………
店舗裏口から慌てて走って来た。


宿へ向かって走り出す。。

『何やってたんだよ?』

『残り20枚を男性スタッフ2人に売ってきた』

『え』

『買ってくれたよ。
纏めて500円引いたけど』
『お前………
やるな………』

『あ〜〜〜疲れたね…………』

宿に到着すると、
甲斐はシャワーを浴びてさっさと寝始めている。
素泊まり宿にて雑魚寝だ。


『シャワー浴びてこよ…暑……』
1階にある共同バスルーム――風呂屋みたいなものだ――でカラダを流す。
拓矢も一緒に浴びている。

『武者修行みたいなものだね』
『だなぁ』
『他に客居ないもんだね?深夜だからかな…』


バスルームは鎮まり返っていた。

『旅行みたいだよな』
翔汰は少し嬉しい。



大学院時代迄はバックパッカーをしたり、
日帰りで遠出をしたりとリア充満喫していたのだが……
この仕事を始めて以来マンションを離れて泊まるなんて初めだ。

『俺も嬉しい…』
拓矢がポソリと呟く。
カラダを洗いながら、
どちらからともなく唇を重ねた。。
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