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第9章 そのきゅー

駅前にて座っていると、
バンワゴンが滑り込んで来た。


後部座席に乗り込む。


『ええと、
拓矢を下ろした後翔汰だな。
拓矢、
相手女優分かってるな？』
甲斐は車を車道の波に上手く乗せる。


『―――篠ユリカ【しのゆりか】、ですよね』


『………何かあるの？
その女優』
甲斐と拓矢のやり取りから気になって、
翔汰は体を前のめりにした。



『翔汰は絡んだことなかったな？
篠ユリカはな〜〜〜……
物凄いワガママ&態度悪くて有名なんだわ。
だいぶ前に瞬が仕事したとき、
酒瓶で殴られたんだ』



『えっ……
酒瓶持ってきてるんすか？拓矢大丈夫か？
あんまフレンドリーにしない質だから大丈夫か』


『ユリカにゃ拓矢みたいなほうが良いかもな。
何が逆鱗に触れるか分からない子でなー。』


『瞬大丈夫だったんすか？メッセージでも何も言ってなかったから知らなかった』
翔汰は俄に心配になってきた。
瞬じゃなくて拓矢が、だけど。