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イカせ屋稼業
第11章 そのじゅう
『あっ?
翔、もしかして指先でつけられたの?』
画面を見ていた拓矢が言う。


『……みたいだな。
あんなクッキリ、キスマークみたいに付けれるなんて………』

KANAMEって変なテクニシャンのようだ。


『背中、まだ残ってる?見てよ拓』
翔汰はジャージの裾を捲り上げた。


そこへ……
『あらやだぁ!
こんなトコで脱がないでぇ〜』
久しぶりに(それも失礼だが)紫色のルージュを塗った百合絵社長の顔が現れた。


『社長、おつかれっす〜』『だいぶ薄くなってるけど……指先で付けたとしたら凄いな?』
『だよな。
でも女優さんは一切付けなかったんだよなぁ。レイプものだったし』

ふたりがごちゃごちゃ言っていると、
『あっ、そうだわ〜〜〜。昨日愛名まゆりの事務所からお礼が来てたんだったわ♪』と社長が言い衝立から出ていく。


『お礼?………あ。
何か言ってたなぁ』翔汰は思い出した。

『翔、何かしたの?』

『……KANANEがあんまり酷いからさ。
せめて俺だけは傷つけないようにした。愛名さんが「お礼しますから」つってたの思い出した』


社長が『これこれ〜〜〜♪♪♪
アタシの大好物!』
とワインボトルを抱えて見せてきた。


花が飾ってあり、
〔百合絵社長さま
蒼井翔汰さま、ありがとうございました………m事務所所属・愛名まゆり〕とメッセージカードに書いてある。


『………てか社長宛かよ(笑)俺の名前ちっちゃ!』翔汰は思わず笑った。



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