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イカせ屋稼業
第14章 そのじゅうに
『この俺を嘲った罰だ!!』


『……………どんな俺だよ?……』
減らず口の拓矢。


KANAMEはプツンと切れた。

手にチカラを込める。



カチャッ………

KANAMEの耳元に、嫌な音が届く。


『拓矢から手を離せ。
引き金を引くぞ』
翔汰だ。



『てめぇ、いつの間に………!』

手のチカラを緩めず、
首を捻る。



翔汰は断腸の思いで拳銃を握っていた。



『打ってみろよ。
お前もムショ行きだ(笑)
こいつと正義漢ごっこもできなくなる』
KANAMEが薄笑いを浮かべる。



『いいよ。
拓矢とは繋がってるんだ、永遠に。
拓矢さえいればいい』

翔汰は確信に満ちた声を出す。




『_____お前っ…………』
KANAMEは右手を引くと、
拓矢の鳩尾に拳をぶつけた。


『ぐ!っ………………!』

重い肉の音がして、
拓矢がガクリと意識を失う。


『あっ!お前、やりやがったな!!』
こめかみを伝う汗。一瞬、母ミサコや妹彩夏の顔がよぎる。

引き金に指をかけた翔汰_______







『はーい、そこまでよ!!!』
パンパンパンと手を叩く音がした。

場違いな乾いた拍手に、
一同がポカンとした。



百合絵社長だ。


ショッキングピンクのドレスにレモンイエローのヒール。
夜会巻きの髪・紫色のルージュはいつもと同じ。


ド迫力の百合絵社長の後ろから、
ドタバタと警察官が飛び込んできた。



『____佐嘉原了!
傷害罪・銃刀法違反ならびに恐喝罪で逮捕するっ』


KANAMEの手首に手錠がかかった。



翔汰は拳銃を握ったまま。

『え、俺……………』
どうしよう?持っちゃってる。


___警察官が、スッと寄ってきた。
『一部始終見てたから。
君は佐嘉原の拳銃を拾っただけだ。違うかね?』



『…………あ…………はい』


『よし!もう揉め事を起こさないように!』



警察官は暴れるKANAMEを数人で抑え込みながら、
〔ミントリア〕を出てゆく。


『_____了!』

翔汰は思わず呼んだ。


KANAMEが虚ろに振り向く。


『………………またな!
また会ったら飲み行こうぜ!』


どやどやと連行され、
返事も表情すら見えなかったけど。


(悪いヤツだけど、
なーんか抱えてそうな気がする……)





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