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イカせ屋稼業
第15章 そのじゅーさん~未来へ~
『そうだね?

14時かぁ。甲斐さんの携帯鳴らしてみようか』

拓矢がスマホを取り出した。


そのとき。


『帰ったわよぉぉぉ~~~♪♪♪』

百合絵社長のオペラのような声がフロアに響く。

『あらぁ、Yoo!ちゃん。納品終わったのね?』

『はははははいっ!!』
ビシッと立ち上がり、
背筋を伸ばす。



『よしよし。
さ、アンタは帰ってデザイン考えなさいな。
あら、これかわいいわねぇ』
百合絵社長が手にしたのは、
あやとりの糸で作った赤い小さな編みぐるみ風手袋。


親指大しかないのに、

ちゃんと5本ある指。



『おー、すげ~~~!
さすがYoo!ちゃん!えー、こんな緻密に指先でできるもの?』
翔汰もため息をはいた。



『ででででは、しゃっ社長のご指導通りもど戻りますっ』
Yoo!ちゃんはミノムシスタイルで慌てて帰っていった。



『あれ?
社長、診断書って……………』
翔汰は百合絵が隠すように胸に伏せていた紙を見る。



『___ああ、これはメタボリック症候群のよ(笑)
やだやだ、
ちょっとは痩せなきゃダメかしらね』






確かに!

言えないが、社長は巨漢すぎだ。



『おーい、遅くなって済まない!
行くぞ、
ふたりとも』

甲斐が駆け込んできた。


「『はーい』」
午後からふたりの撮影なのだ。



着実にaijiファンが定着し、
翔汰だけ・拓矢だけのファンもかなり増えた。



今の時代、
ジェンダーレス男子なんて女子力が高い男子がウケる。
つられてか、〔男も女もイケるひと〕も支持を得る。


グレーゾーンからブラックゾーンまでが狭くなってきた。
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