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イカせ屋稼業
第16章 そのGO
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沢山の献花が祭壇を埋め尽くす。

中央に、
榊百合絵の遺影が大きな額縁に飾られていた。




______一昨日の深夜帯だった。

ふたりはタクシーを呼び、
乗り込むと社長が入院している病院へと急いだ。


到着すると、
夜間入り口には榊理さんと昴さんが立っていた。

目を真っ赤にして。


ふたりに一礼すると、
理さんは『つい30分前だよ。
突然だなぁ…………?』と泣き笑いの表情になった。



翔汰も拓矢も頭の中がシーンと静まり返ったようで、
上手く働かない。



〔特別室〕に向かうと、
イージーや甲斐、社員たちが病室の前でバタバタしていた。




ふたりは為すすべがなく、
あまりに急な出来事に立っているのが精一杯だ。



『翔汰さん?拓矢さん…………』

透き通るような声がして、
ふたりは振り向く。

いなき瑞穂が普段着らしいワンピース姿で弱々しく微笑んでいた。

『ついさっきなのよ。
ちょうど、私が見ていたの………………』

グスッと鼻を啜るとハンカチで顔を覆った。


『ごめんなさいね………………、

あんまり急で………………』


いなき瑞穂な膝から頽れ、
床に突っ伏し嗚咽した。





甲斐がふたりに気付く。

『翔汰、拓矢。
___早かったな…………社長、逝去されたよ………』




あまりに突然だったからだろう。

黒い服を着ているのは、
〔ミントリア〕の社員だけだった。




イージーがいなき瑞穂の肩を抱き宥める。





看護師に霊安室に移動すると言われ、
百合絵社長はベッドごとそのまま運ばれてゆく。




紫色のルージュを塗ったままだ。



翔汰は、
『社長っ…………』とベッドの隅を掴んだ。


看護師に払われてしまう。



が、
ふと…………………


百合絵社長が笑ったような表情になった。





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