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イカせ屋稼業
第2章 そのに
(よし、
いかにもな雰囲気オッケー)

『蒼井さん、こちらになりますー』
スタッフが誘導してくれて階段を上がり室内に入る。


『おお、なるほど廃墟…………』
思わず溢した。


ボロい椅子、
おそらく元会社だっただろう事務机。


ビルの3階である。
窓はところどころ割れていた。
広い室内。

コンクリ壁が剥き出しになっている。



翔汰たちは2階で用意をした。


『城戸さん入りまーす!』城戸ゆうこがスーツ姿でカツンとヒール音を響かせる。


監督が、
『早速始めましょーか!
じゃ先ず〔横領がバレて呼び出され、
詰め寄られた情けない男〕から』


翔汰は猫背のまま、
顔を俯けた。

ゆうこが腕を組んで翔汰に1歩寄る。
『………認めたわね?』
網タイツにヒール靴、仕事用スーツ姿。ミニスカートから細い脚が伸びている。
『ううっ………し、仕方なかったんだ………』

『ふぅん?
借金返済のため、かぁ……
あたしが黙ってればあなたは安泰なのよねぇ?』
フフンと嫌な笑い声をあげるゆうこ。


『……あたしの言うこと聞きなさい?
これから未来永劫』



『はい、
会話オッケーです!
じゃ次〜!ゆうこさん虐げちゃってね〜』
監督が言い、
カメラは一旦止まる。


『分かりました。
よし、いいわね?』
翔汰に尋ねるゆうこ。
『オッケーですよ』
翔汰もゆうこの目を見て答えた。



『スタート』監督の声が響く。
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