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イカせ屋稼業
第2章 そのに
うとうと眠ってしまっていると、
スマホの呼び出し音(バイブ)振動がしてハッと目が覚めた。
『……ん?……
ああ?えっ?』
振動するスマホの画面をスクロールして、
着信名に驚きおかしな声が出た。
『どうした?
もう事務所着くぞ?』
『あ、いえ……
友人からTELでした』
――――大学時代の彼女からだった。
会わなくなって一年近く経過していた。
心臓がバクバクしている。
バンワゴンが事務所ビルのロータリーに停まり、
翔汰は降りた。
甲斐は別の俳優の送迎にそのまま向かう。
事務所に入り、
社員以外人が居ないことを確認すると隅の衝立の中で先ほどの着信にかけ直した。
〔田渕美桜〕
【タブチミオ】は、大学入学時から約5年も交際した彼女だった。
呼び出しコール音を聞きながら、
(今頃何だよ?)と訝る。未練があったのではなく、置して忘れてた。
半年まえ、
軽蔑して離れて行った友人たちの輪の中に居た彼女。
『……もしもし』
カチャリと通話が始まる。か細い美桜の声を久しぶりに聞いた。
『もしもし?』
『………翔汰?……元気?』
『何の用事?』
『ううん、元気かなと思って…』
『……元気だけど』
『…………………』
『…………何??』
『ごめん…あの時皆と同じ反応しちゃった』
『だから何?』
翔汰は自分でも驚くほど冷めていた。
冷ややかな声で元彼女に詰問する。