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君をこんなに愛してる
第2章 奪われた幸せ
今では、彼の想いを信じている。
「鉢は大きいから僕が持ちます。これを母の部屋のベランダに運べばいいんですよね?」
「ありがとうございます」
「こら、僕に敬語はやめて下さいと言ってるでしょう?」
「あ…うん、ありがとう」
“ 絢人さんは誰にでも敬語なのに ”
夏の終わりのデート中に、わたしが彼に選んだカーディガン。それをさりげなく着こなす絢人さんは、モデル顔負けのスタイルの持ち主だ。
その黒髪は色素が薄くて、朝日の元では茶色っぽく見えなくもない。
「持っていったら中に土をいれるんだろう?楽しそうだから僕にも手伝わせて下さい」
「うん、一緒に植えましょう」
笑うと細目が、くしゃっと糸になる。
絢人さんのその柔らかい笑顔と目元が、わたしはどうしようもなく好き。
「栞と一緒にするなら、なんだって楽しい」
「──…」
その声で名前を呼ばれるだけで、夢見ごこち。