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君をこんなに愛してる
第8章 大事だから
「僕の存在が、貴峰絢人が病気だったことを証明しているでしょう?」
「…確かに…貴方は…」
同じ顔、同じ体格、同じ声、同じ性格──
“ 赤の他人なわけがない…っ、例え双子でも、こんなにそっくりな人は見たことない ”
でも…だからって
そんな事が今の日本であり得るなんて──。
「絢人さんから生まれたって…!そんな話を信じろなんて言われても、…できない」
「──…何故?マウスで可能な事が、人間に応用されただけですよ」
「ねっ、ネズミと人は違うもの」
「…同じです。倫理的な問題があるだけで」
医学の世界は、工学との連繋によってその技術を革新的に成長させてきた。
海外では家畜に応用している例もある。
「もう十年もしたら、当たり前となる技術です」
歴史を振り返れば、人間はあらゆる物を「貯蓄」することで営みを豊かにしてきた。
食糧を貯め始め
自分の土地を持ち
金を安全な場所に預けるようになる…。
次は、命を貯める時代。
余裕がある時に保険を作り、必要な時に取り出して使えるモノとして。