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君をこんなに愛してる
第4章 空白の記憶
「母が、見ています…」
「──あっ!!」
絢人さんに言われて、わたしは急いで離れた。
振り返ると苦笑いをする奥様が。
「ごめんなさいねぇ…お邪魔よね?私はすぐに帰るから許してね?」
「…そんな…奥様、とんでもないです。奥様こそ絢人さんの帰りを待ち続けていた筈です」
「私と旦那は、一昨日から絢人に会っているのよ。だから十分に話したわ」
奥様はそう言いながら、鞄から服を数着取り出して絢人さんに渡した。
「明後日には退院のはずだけれど、いちおう着替えを持ってきたから」
「ありがとう、お母さん」
受け取った絢人さんは、それをベッド横の棚に納める。
…退院?
そう言えば…
「──…絢人さんは怪我や病気をしていたの?」
「……ん?」
「一年前の事件もあるし、…見たところ…元気そうだから安心しているけど」
奥様は検査がどうのと話していたけれど、何の検査だったのかしら?
パッと見た感じでは、怪我や病気を患っている様子はない。