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君をこんなに愛してる
第5章 初めてのデート
そうと決まれば今度こそお洒落をしなければ。
仕事を終えたわたしは自室に戻り、鏡を立てると後ろで無造作に束ねていた癖っ毛をほどいた。
無駄と知りつつ、くしを入れて少しでもストレートに近付けてみる……。が、
「やっぱり駄目かぁ」
くるくると、いろんな方向に遊んでいる自分の髪を見ながら、むぅ…と眉をひそめた。
“ やっぱりくくろうかな ”
一度とったゴムだけれど、諦めて結ぶべきか。
そう思ったわたしの脳裏に…
かつての絢人さんの言葉が浮かんだ。
『 栞の髪はふわふわしていて…触っていて気持ちがいいです 』
たしかあの日は初デートだったかな。
二人で水族館に行って…その時に言われた言葉。
“ 嬉しかった…な ”
大嫌いな自分の髪が、絢人さんの言葉ひとつで愛しく思えた瞬間だった。