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君をこんなに愛してる
第2章 奪われた幸せ
「奥様のところに行かないといけないの。何処にいらっしゃるかご存じ?」
「──栞さん!」
執事さんに問いかけたのとほぼ同時、わたしの名を呼びながら奥の客間から奥様が現れた。
わたしは街で買ってきたばかりの株を、袋から出して奥様に見せる。
「これが青い薔薇の株です。今年こそ、こうして手に入りました…すぐに奥様の寝室のベランダに花壇を運んでおきますね」
「嬉しいわ栞さん。でも、少し休んでからでいいのよ」
「大丈夫です」
帰宅して早々、わたしにはまだやることがある。
休んでなんかいられない。わたしは…
この貴峰( タカミネ )家に仕える、使用人なのだから。