この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
君をこんなに愛してる
第7章 目を覚ませば
封筒の表には何も表記されていない。
でも裏返すと
《 貴峰 絢人 》
左下に、その名が小さく書かれていた。
宛名も、住所も、何も無いのに
書かれているのはその名前だけ。
“ 普通なら…… ”
普通なら、そう──逆の筈だ。
貴峰 絢人
本来は宛名のところに綴られるべき名前。
どうして差出人?
それともこれは、絢人さんが誰か宛にしたためた手紙なのだろうか……とも考えたが
手紙の封は破かれているのだから、それはそれで考えにくかった。
「──…」
自分の鼓動が
警鐘となって頭に響く──。
とても耳障り。
不愉快な音だった。