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君をこんなに愛してる
第8章 大事だから
「ここは貴峰家ですよ」
彼が言うには、ここは貴峰家の一室だそうだ。
けれどわたしはこんな部屋知らない。長年にわたり遣えてきたが、掃除に入ったこともない。
それを伝えると、そうでしょうと彼は頷いた。
「君が来たことはない筈です。邸宅の離れにあって、一部の執事以外に入ることはできなかったから」
「離れ…?もしかして裏庭の」
貴峰家と裏庭をはさんだ所に、ひとまわり小さな家が建っている。
そこには立ち入るなと奥様達に言いつけられていたから、わたしはその家の存在が気になりつつも入ったことがなかった。
古びたわけでもない小綺麗な平屋だった。
それが、ここ……。