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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第5章 第二話・其の弐

いかにも言いにくそうに言うのへ、お彩は努めて平静を装って言った。
「私はこの部屋に入ったことは一度もありません。ましてや旦那さんがここの手文庫に店のお金をしまっているなんてことも全く知りませんでした」
喜六郎が押し黙る。
と、突然、小巻が叫んだ。
「あなたがやったんでしょ」
その決めつけたような口調に、流石のお彩も我慢できなくなった。
「私はやっていません」
お彩は小巻には取り合おうとせず、喜六郎を真っすぐ見つめた。
「私はお店のお金を盗んだりしていません」
その言葉に、喜六郎が頷く。
「それは判ってるよ。お彩ちゃんが陰日なたなく働くことは俺もよおく判ってる。お前がそんな人間じゃねえことは承知してるさ」
お彩は喜六郎の言葉を訝しく思わずにはいられなかった。
「私はこの部屋に入ったことは一度もありません。ましてや旦那さんがここの手文庫に店のお金をしまっているなんてことも全く知りませんでした」
喜六郎が押し黙る。
と、突然、小巻が叫んだ。
「あなたがやったんでしょ」
その決めつけたような口調に、流石のお彩も我慢できなくなった。
「私はやっていません」
お彩は小巻には取り合おうとせず、喜六郎を真っすぐ見つめた。
「私はお店のお金を盗んだりしていません」
その言葉に、喜六郎が頷く。
「それは判ってるよ。お彩ちゃんが陰日なたなく働くことは俺もよおく判ってる。お前がそんな人間じゃねえことは承知してるさ」
お彩は喜六郎の言葉を訝しく思わずにはいられなかった。

