この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第5章 第二話・其の弐

お彩はこの二人のやり取りで合点がいった。やはり、自分を疑っているのは小巻なのだ。しかし、これでは、あまりにもお粗末すぎる。店の売上金が紛失したからといって、それをただ一人の使用人であるというだけの理由でお彩を科人扱いするのは―。
小巻の口ぶりでは、既にお彩が金を盗った下手人と決めつけ、端から犯人扱いしているかのようだ。
「先ほども申し上げましたけど、私はこのお部屋には一度として立ち入ったことはありません。今日が初めてなんです。それなのに、どうして、私がこの部屋にある手文庫からお金を盗んだことになるんですか?」
お彩が訴えると、喜六郎が口を開くより先に小巻が応えた。
「いくら言い逃れようったって、無駄よ。悪あがきは止めなさい。いいこと、金が無くなった時、この部屋は何も荒らされた形跡はなかったの。
小巻の口ぶりでは、既にお彩が金を盗った下手人と決めつけ、端から犯人扱いしているかのようだ。
「先ほども申し上げましたけど、私はこのお部屋には一度として立ち入ったことはありません。今日が初めてなんです。それなのに、どうして、私がこの部屋にある手文庫からお金を盗んだことになるんですか?」
お彩が訴えると、喜六郎が口を開くより先に小巻が応えた。
「いくら言い逃れようったって、無駄よ。悪あがきは止めなさい。いいこと、金が無くなった時、この部屋は何も荒らされた形跡はなかったの。

