この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第5章 第二話・其の弐

お彩は真剣な面持ちで問うた。
「でも、旦那さん。一体、誰が店のお金を盗んだんでしょうか。確かに〝花がすみ〟には旦那さんとお嬢さん、それに私の三人しかいません。お客さんがそんなことをなさるとは思えないし、私たちの全く知らない通りすがりの人間が忍び込んだとでもいうんでしょうか?」
その言葉に喜六郎が一瞬ハッとしたような表情になったのを、お彩は見逃さなかった。
「いや、俺にも少し心当たりがねえこともないんだ。しばらく考えさせちゃくれねえか」
そう言ったときの喜六郎の顔は既にいつもの彼らしい気の好さそうな笑顔に戻っていた。
―旦那さんは何かを知っている?
お彩の心にふとそんな想いが湧いた。だが、これ以上何も言うことはできず、そのまま立ち上がった。
「でも、旦那さん。一体、誰が店のお金を盗んだんでしょうか。確かに〝花がすみ〟には旦那さんとお嬢さん、それに私の三人しかいません。お客さんがそんなことをなさるとは思えないし、私たちの全く知らない通りすがりの人間が忍び込んだとでもいうんでしょうか?」
その言葉に喜六郎が一瞬ハッとしたような表情になったのを、お彩は見逃さなかった。
「いや、俺にも少し心当たりがねえこともないんだ。しばらく考えさせちゃくれねえか」
そう言ったときの喜六郎の顔は既にいつもの彼らしい気の好さそうな笑顔に戻っていた。
―旦那さんは何かを知っている?
お彩の心にふとそんな想いが湧いた。だが、これ以上何も言うことはできず、そのまま立ち上がった。

