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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第7章 第三話 【盈月~満ちてゆく月~】 其の壱

彦七の適切な助言があったからこそ、お絹と伊八は遠くまで連れ去られたお彩を連れ戻すことができたのだ。
宮大工をしている彦七は、今では数人の若い者を使い、「親方」と呼ばれる立場にまでなったという。子どもこそ授からなかったが、お縞とよりを戻してから後は夫婦二人で力を合わせ働いた。だからこそ、彦七は小さ居ながらも「宮七」という組を作り、若い者たちから棟梁と慕われるようになったのだ。そこまでなるには相当の苦労もあったはずで、彦七が四十半ばという年齢以上に老いて見えるのも致し方のないこともかしれない。
彦七夫婦は川越宿に住んでいたが、今回、彦七が江戸に出てきたのは、病で亡くなったお縞の一周忌も滞りなく終え、ここらで一人ゆっくりと休養を取りたいと思ったからである。
宮大工をしている彦七は、今では数人の若い者を使い、「親方」と呼ばれる立場にまでなったという。子どもこそ授からなかったが、お縞とよりを戻してから後は夫婦二人で力を合わせ働いた。だからこそ、彦七は小さ居ながらも「宮七」という組を作り、若い者たちから棟梁と慕われるようになったのだ。そこまでなるには相当の苦労もあったはずで、彦七が四十半ばという年齢以上に老いて見えるのも致し方のないこともかしれない。
彦七夫婦は川越宿に住んでいたが、今回、彦七が江戸に出てきたのは、病で亡くなったお縞の一周忌も滞りなく終え、ここらで一人ゆっくりと休養を取りたいと思ったからである。

