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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第8章 第三話 【盈月~満ちてゆく月~】 其の弐

「苦しくはなかったの?」
お彩の問いに伊勢次は笑顔に戻って応えた。
「俺にとっちゃあ、真相をお袋にぶちまけて、お袋を哀しませるよりは、自分が何も知らねえふりをする方がよほどマシだった。事実を暴いたところで、誰も歓ぶ人間はいやしねえ。血の繋がりよりも、俺とお袋が親子として築いてきた年月の方を大事にしてえと思ったんだよ。お彩ちゃん、血の繋がりも確かに大切だけど、この世にはそれよりも大事なものがある。それが心と心の繋がりっていうもんじゃねえのかな。俺とお袋の間には血の繋がりよりも確かな絆があると俺は信じてるんだ」
お彩は何故、伊勢次がこんな話―誰にも聞かせたことのない話をわざわざしたのが判っていた。伊勢次は言いたいのだ。
お彩の問いに伊勢次は笑顔に戻って応えた。
「俺にとっちゃあ、真相をお袋にぶちまけて、お袋を哀しませるよりは、自分が何も知らねえふりをする方がよほどマシだった。事実を暴いたところで、誰も歓ぶ人間はいやしねえ。血の繋がりよりも、俺とお袋が親子として築いてきた年月の方を大事にしてえと思ったんだよ。お彩ちゃん、血の繋がりも確かに大切だけど、この世にはそれよりも大事なものがある。それが心と心の繋がりっていうもんじゃねえのかな。俺とお袋の間には血の繋がりよりも確かな絆があると俺は信じてるんだ」
お彩は何故、伊勢次がこんな話―誰にも聞かせたことのない話をわざわざしたのが判っていた。伊勢次は言いたいのだ。

