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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第8章 第三話 【盈月~満ちてゆく月~】 其の弐

仮に真に伊八がお彩の実父ではないとしても、お彩と伊八の間には血の繋がりよりも―ただの事実よりももっと確かな心と心の繋がりがあるはずだ、と。
―俺とお袋の間には血の繋がりよりも確かな絆がある。
そう言い切れる伊勢次が心底羨ましかった。だが、今のお彩は残念なことに、伊勢次のようにきっぱり割り切ることはできそうにもない。伊八の言うことは十分理解できたけれど、理性では判っても感情がついてゆかない。
「だから、お彩ちゃんの気持ちを俺は満更理解できねえわけじゃない」
お彩は黙って伊勢次の言葉を聞いていた。
いつか自分も伊勢次のように、真実にきちんと向き合い、受け入れることができるだろうか。そんな強い自分になることができるだろうか。
―俺とお袋の間には血の繋がりよりも確かな絆がある。
そう言い切れる伊勢次が心底羨ましかった。だが、今のお彩は残念なことに、伊勢次のようにきっぱり割り切ることはできそうにもない。伊八の言うことは十分理解できたけれど、理性では判っても感情がついてゆかない。
「だから、お彩ちゃんの気持ちを俺は満更理解できねえわけじゃない」
お彩は黙って伊勢次の言葉を聞いていた。
いつか自分も伊勢次のように、真実にきちんと向き合い、受け入れることができるだろうか。そんな強い自分になることができるだろうか。

