この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第8章 第三話 【盈月~満ちてゆく月~】 其の弐

甚平店からの帰り道、お彩は和泉橋のたもとを通った。この小さな橋を隔てて武家屋敷町と町人町が相対している。即ち一方は閑静なお屋敷街であり、また一方は商家が軒を連ね、大勢の人が行き交う活気溢れる庶民の町であった。
橋のたもとには、ゆうに樹齢百年は越える桜の樹がひそやかに佇んでいる。既に花も散り、青々とした葉を繁らせていた。その傍らには楓の樹が寄り添うように植わっていて、こちらも桜ほどではないけれど、かなりの古樹のようであった。橋を渡りきった先は、静かなお屋敷町へと続いている。
近くに見える立派なお屋敷松平越中守さまのお住まいであった。
お彩は橋のたもとに佇み、じっと流れゆく川を見つめた。けして大きな川ではないが、流れは存外に速い。楓の樹が豊かな緑の葉を涼しげに水面に映しだしていた。
橋のたもとには、ゆうに樹齢百年は越える桜の樹がひそやかに佇んでいる。既に花も散り、青々とした葉を繁らせていた。その傍らには楓の樹が寄り添うように植わっていて、こちらも桜ほどではないけれど、かなりの古樹のようであった。橋を渡りきった先は、静かなお屋敷町へと続いている。
近くに見える立派なお屋敷松平越中守さまのお住まいであった。
お彩は橋のたもとに佇み、じっと流れゆく川を見つめた。けして大きな川ではないが、流れは存外に速い。楓の樹が豊かな緑の葉を涼しげに水面に映しだしていた。

