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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第8章 第三話 【盈月~満ちてゆく月~】 其の弐

翌朝、「花がすみ」はまだ夜も明けやらぬ中から大騒動となった。予定日もいよいよ近付いてきた小巻が突然、産気づいたのである。産婆は出産までにはまだ間があると言っていたゆえ、喜六郎もお彩もまだまだ先の事とどこか安気に構えていた。
ところが夜半に小巻が烈しい腹痛を訴え、泡を食った喜六郎がお彩の住まいまで飛んでやって来た。お彩はその脚で産婆を呼びにゆき、産婆と共に「花がすみ」に駆け戻った。
上背はあるが元々華奢な小巻を見て、産婆は難産になると断言していたのだが、意外にも小巻は産気づいてから数時間で難なく男児を産み落とした。初孫を得た喜六郎は歓びと安堵のあまり、もう茫然自失である。
ところが夜半に小巻が烈しい腹痛を訴え、泡を食った喜六郎がお彩の住まいまで飛んでやって来た。お彩はその脚で産婆を呼びにゆき、産婆と共に「花がすみ」に駆け戻った。
上背はあるが元々華奢な小巻を見て、産婆は難産になると断言していたのだが、意外にも小巻は産気づいてから数時間で難なく男児を産み落とした。初孫を得た喜六郎は歓びと安堵のあまり、もう茫然自失である。

