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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第11章 第三 【ほたる草】 其の参

「あまり思いつめない方が良いですよ」
余計な台詞であろうことは判っていたけれど、小巻のあまりの哀しげな表情につい言わずにはおれなかった。
いくら町外れで人通りも少ないとはいえ、ここは店の表である。そんな人目につく場所で小巻が泣いている―、勝ち気で人前で涙一粒見せたことのない小巻が泣いているのを見て、ここまで小巻の心が追いつめられているのかと危機感を憶えたのである。
恐らく今の彼女は心理的に極限状態にまで追い込まれているに違いなかった。
だが、同時に、小巻への軽い怒りもあった。
小巻はいまだに偉兵衛を愛している。たとえ、あんな男であっても、小巻は偉兵衛に惚れているのだ。
たった今見たばかりの小巻の涙が何よりそれを物語っている。
余計な台詞であろうことは判っていたけれど、小巻のあまりの哀しげな表情につい言わずにはおれなかった。
いくら町外れで人通りも少ないとはいえ、ここは店の表である。そんな人目につく場所で小巻が泣いている―、勝ち気で人前で涙一粒見せたことのない小巻が泣いているのを見て、ここまで小巻の心が追いつめられているのかと危機感を憶えたのである。
恐らく今の彼女は心理的に極限状態にまで追い込まれているに違いなかった。
だが、同時に、小巻への軽い怒りもあった。
小巻はいまだに偉兵衛を愛している。たとえ、あんな男であっても、小巻は偉兵衛に惚れているのだ。
たった今見たばかりの小巻の涙が何よりそれを物語っている。

