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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第11章 第三 【ほたる草】 其の参

「あなたによくそんなことが言えるわよね。私が何も知らないっていうの?」
小巻が叫び、お彩はその言葉の意味を計りかねて当惑した。小巻がフフンと鼻で嗤う。
「筆屋のおとみさんがご丁寧にわざわざ私に教えにきてくれたの。おとみさんも今日、随明寺にお参りしたんですってよ」
刹那、お彩の中で小巻の言わんとしていることが理解できた。
「違うわよ。小巻さん、落ち着いてよく聞いて」
「花がすみ」の近くにある筆屋は老婆おとみが一人で店を細々と続けている。倅夫婦とは折り合いが悪く、それはどうやら、おとみの喋り好き、詮索好きが災いしていると専らの噂だ。
小巻が叫び、お彩はその言葉の意味を計りかねて当惑した。小巻がフフンと鼻で嗤う。
「筆屋のおとみさんがご丁寧にわざわざ私に教えにきてくれたの。おとみさんも今日、随明寺にお参りしたんですってよ」
刹那、お彩の中で小巻の言わんとしていることが理解できた。
「違うわよ。小巻さん、落ち着いてよく聞いて」
「花がすみ」の近くにある筆屋は老婆おとみが一人で店を細々と続けている。倅夫婦とは折り合いが悪く、それはどうやら、おとみの喋り好き、詮索好きが災いしていると専らの噂だ。

