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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第12章 第五話 【夏霧】 其の壱

お彩は唇を噛んだ。
「今朝、おきみさんが来られたんです」
刹那、喜六郎の動きが止まった。
お彩はもう一度繰り返した。
「今日、おきみさんが―」
しかし、その声は突き放すような声に遮られた。
「もう良い」
「でも」
お彩も負けてはおらず食い下がると、喜六郎は頑なに首を振った。真一文字に結んだへの字の唇が何より今の喜六郎の心を物語っている。
「今更、あの女とわしの間で話し合うことは何もねえ。おきみはそれだけのことをわしにしたのさ」
「今朝、おきみさんが来られたんです」
刹那、喜六郎の動きが止まった。
お彩はもう一度繰り返した。
「今日、おきみさんが―」
しかし、その声は突き放すような声に遮られた。
「もう良い」
「でも」
お彩も負けてはおらず食い下がると、喜六郎は頑なに首を振った。真一文字に結んだへの字の唇が何より今の喜六郎の心を物語っている。
「今更、あの女とわしの間で話し合うことは何もねえ。おきみはそれだけのことをわしにしたのさ」

