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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第13章 第五話 【夏霧】 其の弐

おきみの返答の意味を計りかねて、お彩は当惑した。おきみは一体、何を言おうとしているのだろうか。その胸中を知って知らずか、おきみは、うっすらと微笑んだ。
「あの子は旦那さんの、喜六郎さんの子なんかじゃありません」
あまりにもきっぱりとした物言いに、お彩は怒りを感じるよりも茫然とした。
「そのことについては、まず謝らなくちゃいけませんね。本当に、あたしってば、同じことの繰り返しばかり。三年前に江戸を逃げるように出ていったときも、今回だって―。こんなあたしじゃあ、旦那さんに嫌われても仕方ありませんよ」
「じゃあ、承平ちゃんは、旦那さんの子どもではないと?」
「あの子は旦那さんの、喜六郎さんの子なんかじゃありません」
あまりにもきっぱりとした物言いに、お彩は怒りを感じるよりも茫然とした。
「そのことについては、まず謝らなくちゃいけませんね。本当に、あたしってば、同じことの繰り返しばかり。三年前に江戸を逃げるように出ていったときも、今回だって―。こんなあたしじゃあ、旦那さんに嫌われても仕方ありませんよ」
「じゃあ、承平ちゃんは、旦那さんの子どもではないと?」

