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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第13章 第五話 【夏霧】 其の弐

その夜、いつものように酔っ払って安脂粉の匂いをまき散らしながら色宿から帰ってきた勝蔵におきみが文句を言った。それが気に入らず、おきみを打ち据えようとした勝蔵の前に飛び出して庇った養母を勝蔵は滅多蹴りにしたのである。
その数年後、おきみは家を飛び出した。その頃、既に家業の植木屋はとうに畳んでおり、わずかにいた弟子たちも皆、暇を取っていた。おきみは仕立物の内職をしながら、細々と暮らしていたが、少ない稼ぎはすべて勝蔵の遊興費に消えていた。
おきみは一年ほどの間、良人の眼を逃れるようにして身を隠し、近在の宿場町で飯盛女をしながら何とか食いつないでいた。誘われれば客と寝て、わずかな金を得て生計の足しにした。おきみの身体は名前すらろくに知らぬ旅の男たちに次々と汚された。
その数年後、おきみは家を飛び出した。その頃、既に家業の植木屋はとうに畳んでおり、わずかにいた弟子たちも皆、暇を取っていた。おきみは仕立物の内職をしながら、細々と暮らしていたが、少ない稼ぎはすべて勝蔵の遊興費に消えていた。
おきみは一年ほどの間、良人の眼を逃れるようにして身を隠し、近在の宿場町で飯盛女をしながら何とか食いつないでいた。誘われれば客と寝て、わずかな金を得て生計の足しにした。おきみの身体は名前すらろくに知らぬ旅の男たちに次々と汚された。

