この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第13章 第五話 【夏霧】 其の弐

それがその勝蔵という男が食わせ者だった。やがて養父が老齢のために亡くなると、勝蔵の態度が豹変した。植木屋としての腕もたいしたことはなく、大人しいのだけが取り柄であったような男が突如として威張り散らし始めたのだ。酒は呑むは博打は打つは、おまけに遊廓に出入りして女遊びに現を抜かすという体たらくであった。酔うと、おきみや年老いた養母を殴ったり蹴ったりの乱暴を働く。
おきみが二十歳の時、おきみのゆく末を案じながら、優しかった養母が亡くなった。その死にも、前日に勝蔵が養母をさんざん足蹴にしたのが拘わっているとしか思えなかった。
おきみが二十歳の時、おきみのゆく末を案じながら、優しかった養母が亡くなった。その死にも、前日に勝蔵が養母をさんざん足蹴にしたのが拘わっているとしか思えなかった。

