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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第14章 第六話 【春の雨】 其の壱

そのときに、伊勢次がお彩に正式な求愛をしたのだ。あの夜のことを、お彩はけして忘れたわけではない。
また、伊勢次はこうも言った。
―お前があの男に惚れてるのは知ってる。だが、あの男だけは止すんだ。
あの男というのは、むろん陽太のことである。伊勢次も陽太が何者なのかを知らないが、陽太には得体の知れぬ翳のようなものがまとわりついていると言って、ひどく忌み嫌っていた。それは伊勢次が言うとおり、何も陽太がお彩の惚れた男だから、それに嫉妬しているせいだとばかりも思えない。何より、伊勢次がただの妬心だけで、ああまで他人を悪し様に言うはずはない。
また、伊勢次はこうも言った。
―お前があの男に惚れてるのは知ってる。だが、あの男だけは止すんだ。
あの男というのは、むろん陽太のことである。伊勢次も陽太が何者なのかを知らないが、陽太には得体の知れぬ翳のようなものがまとわりついていると言って、ひどく忌み嫌っていた。それは伊勢次が言うとおり、何も陽太がお彩の惚れた男だから、それに嫉妬しているせいだとばかりも思えない。何より、伊勢次がただの妬心だけで、ああまで他人を悪し様に言うはずはない。

