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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第14章 第六話 【春の雨】 其の壱

と、喜六郎は大真面目な顔で首を振る。
「いいや、だからこそ、かえって危ねえのさ。夜桜には何ていうのかな―、男心を狂わせる色っぽい女のような妖しさがある。夜に桜を見た男どもが、妙な気持ちになることはままあるんだ。いわば、狼どもがうろつく夜道にお彩ちゃんを一人で放り出すなんざあ、とんでねえ」
お彩は喜六郎の取り越し苦労には笑ったが、その心底案じてくれる気持ちは嬉しかった。
「な、そういうわけだから、伊勢さん、ここは是非にでもお彩ちゃんを無事に送り届けてくれよ」
喜六郎が意味ありげな表情で伊勢次を見る。
「いいや、だからこそ、かえって危ねえのさ。夜桜には何ていうのかな―、男心を狂わせる色っぽい女のような妖しさがある。夜に桜を見た男どもが、妙な気持ちになることはままあるんだ。いわば、狼どもがうろつく夜道にお彩ちゃんを一人で放り出すなんざあ、とんでねえ」
お彩は喜六郎の取り越し苦労には笑ったが、その心底案じてくれる気持ちは嬉しかった。
「な、そういうわけだから、伊勢さん、ここは是非にでもお彩ちゃんを無事に送り届けてくれよ」
喜六郎が意味ありげな表情で伊勢次を見る。

