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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第14章 第六話 【春の雨】 其の壱

「端から判ってたよ。安心しな。お前はいつだって、俺に気があるような素振りは見せたことはねえ。いつも俺を男として見ちゃあいねえんだってことが、俺のようなぼんやり男にも完璧に判ったさ」
「―ごめんな」
言いかけたお彩を、伊勢次が手で制した。
「謝られたら、俺が惨めになるだけだからさ。頼むから、それだけは止してくんな」
お彩はコクリと頷いた。
「判りました。気をつけます」
律儀に言うお彩を、それでも伊勢次は眩しそうに見つめた。
「何となく今夜は、そんな気がしたんだ」
その言葉の意味を今一つ計りかねていると、伊勢次が笑った。
「いや、何ていうかな、今夜辺りは俺の方からそろそろ返事を訊こうと思っていたのさ。お彩ちゃんに胸の内を打ち明けてから丁度一年経つし、この辺が潮時かなと思ってね。
「―ごめんな」
言いかけたお彩を、伊勢次が手で制した。
「謝られたら、俺が惨めになるだけだからさ。頼むから、それだけは止してくんな」
お彩はコクリと頷いた。
「判りました。気をつけます」
律儀に言うお彩を、それでも伊勢次は眩しそうに見つめた。
「何となく今夜は、そんな気がしたんだ」
その言葉の意味を今一つ計りかねていると、伊勢次が笑った。
「いや、何ていうかな、今夜辺りは俺の方からそろそろ返事を訊こうと思っていたのさ。お彩ちゃんに胸の内を打ち明けてから丁度一年経つし、この辺が潮時かなと思ってね。

