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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第15章 第六話 【春の雨】 其の弐

そのことは、お彩から求婚をはねつけられたこととは全く別問題であった。
今日、伊勢次は昼休みになって仕事がひと段落したのを見計らい、「花がすみ」に来た。あの夜、伊勢次に「否」といったときのお彩の様子があまりにも辛そうだったのと、それまでにも最近、彼女が元気がないのをずっと気にしていたからだ。その理由が伊勢次の求婚を断るだけのものから来ているとは、伊勢次にはどうしても思えない。恐らくは「あの男」に原因があるのではないかと、伊勢次の勘が告げていた。
あの二人の仲がどうなっているのまで、伊勢次は知らないし、一々詮索したくもない。が、お彩が塞ぎがちなのがあの男のせいだとすれば、なおのこと放っておけなかった。
今日、伊勢次は昼休みになって仕事がひと段落したのを見計らい、「花がすみ」に来た。あの夜、伊勢次に「否」といったときのお彩の様子があまりにも辛そうだったのと、それまでにも最近、彼女が元気がないのをずっと気にしていたからだ。その理由が伊勢次の求婚を断るだけのものから来ているとは、伊勢次にはどうしても思えない。恐らくは「あの男」に原因があるのではないかと、伊勢次の勘が告げていた。
あの二人の仲がどうなっているのまで、伊勢次は知らないし、一々詮索したくもない。が、お彩が塞ぎがちなのがあの男のせいだとすれば、なおのこと放っておけなかった。

