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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第15章 第六話 【春の雨】 其の弐

それゆえ、喜六郎も快く出してやったという。伊勢次がお彩から求婚を断られたとも知らない喜六郎は、ここ二日ほどのお彩の意気消沈した様子を話して聞かせた。もっとも、この若い二人の間で何かしらの問題が起こったのだということくらいは喜六郎にも察しはついた。
さては、喧嘩でもしたかと、喜六郎はしきりにお彩のことを気にする伊勢次を見ながら勝手に考えてた。それならば、やはり、ここは年輩者が気を回してやらなければならないだろう。喜六郎はそう思って、お彩と伊勢次のためにひと肌脱ぐつもりになった。
―昼飯の忙しい時分は済んだから、二人で桜餅でも食べて、のんびりしてきな。
そう言ってやったのである。
さては、喧嘩でもしたかと、喜六郎はしきりにお彩のことを気にする伊勢次を見ながら勝手に考えてた。それならば、やはり、ここは年輩者が気を回してやらなければならないだろう。喜六郎はそう思って、お彩と伊勢次のためにひと肌脱ぐつもりになった。
―昼飯の忙しい時分は済んだから、二人で桜餅でも食べて、のんびりしてきな。
そう言ってやったのである。

