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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第15章 第六話 【春の雨】 其の弐

お彩は息を呑んで突然の侵入者を見た。
その男―伊勢次は握りしめた両の拳を小刻みに震わせていた。いつもは屈託ない笑顔の似合う丸い顔は朱に染まり、烈しい憤怒の形相が浮かんでいた。
伊勢次が叫んだ。
「お彩ちゃんに何をしたかって訊いてるんだよ」
伊勢次はつかつかと歩いてくると、陽太の胸倉を掴んだ。
「ち、違うの。伊勢次さん、陽太さんは何もしやしないわ」
伊勢次が涙ぐむお彩をちらりと見た。
「じゃあ、何でお彩ちゃんが泣いてるんだ? この男と二人きりで、何をしてたんだ?」
伊勢次は吐き捨てるように言った。
「私と彼女が何をしようと、あんたには拘わりのねえことだ」
その男―伊勢次は握りしめた両の拳を小刻みに震わせていた。いつもは屈託ない笑顔の似合う丸い顔は朱に染まり、烈しい憤怒の形相が浮かんでいた。
伊勢次が叫んだ。
「お彩ちゃんに何をしたかって訊いてるんだよ」
伊勢次はつかつかと歩いてくると、陽太の胸倉を掴んだ。
「ち、違うの。伊勢次さん、陽太さんは何もしやしないわ」
伊勢次が涙ぐむお彩をちらりと見た。
「じゃあ、何でお彩ちゃんが泣いてるんだ? この男と二人きりで、何をしてたんだ?」
伊勢次は吐き捨てるように言った。
「私と彼女が何をしようと、あんたには拘わりのねえことだ」

