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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第15章 第六話 【春の雨】 其の弐

「私がお彩さんを不幸にすると、何故、お前さんはそうもはっきりと言える?」
陽太は淡々と言った。陽太と伊勢次の視線がぶつかり、一瞬、火花を散らしたように思えた。
「お前にお彩ちゃんの何が判るっていうんだ」
伊勢次が叫ぶなり、陽太に掴みかかる。
陽太は、それでもなお泰然としていた。伊勢次に掴みかかられる前に、ひょいと身軽に身をかわし、身体を後方に引く。その勢いで、伊勢次の手は空を掴み、そのまま派手に転んだ。
「だが、そう言うお前さんは、では、あの娘の一体何を知っているというんだ?」
陽太は冷たい声音で断じた。
その時、お彩はハッとした。陽太の周囲に立ち上っている蒼白い焔が一瞬、かいま見えたような気がしたのだ。それは、静かに燃え上がる怒りの焔であった。お彩は、陽太が今、心の底から怒っているのだと感じた。
陽太は淡々と言った。陽太と伊勢次の視線がぶつかり、一瞬、火花を散らしたように思えた。
「お前にお彩ちゃんの何が判るっていうんだ」
伊勢次が叫ぶなり、陽太に掴みかかる。
陽太は、それでもなお泰然としていた。伊勢次に掴みかかられる前に、ひょいと身軽に身をかわし、身体を後方に引く。その勢いで、伊勢次の手は空を掴み、そのまま派手に転んだ。
「だが、そう言うお前さんは、では、あの娘の一体何を知っているというんだ?」
陽太は冷たい声音で断じた。
その時、お彩はハッとした。陽太の周囲に立ち上っている蒼白い焔が一瞬、かいま見えたような気がしたのだ。それは、静かに燃え上がる怒りの焔であった。お彩は、陽太が今、心の底から怒っているのだと感じた。

