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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第16章 第七話 【雪花】 其の壱

「これは、さっき古着屋で買ったものなの。こんなもので申し訳ないんたけど、今の私にはこれくらいのことしかできないから」
お彩は風呂敷を解いて、買ってきたばかりの半纏を父に渡した。
「お前―」
伊八は差し出された半纏を見るなり、絶句した。
「本当に身体だけには気を付けてね。おとっつぁん。おっかさんがあんなことになっちまって、また、おとっつぁんにまで何かあったら、私は今度こそ本当に一人ぼっちになっちまう」
たとえ血の繋がりはなくとも、それ以上の確かな繋がりで結ばれた父と娘であった。伊八がこの世からいなくなることを考えただけで、お彩は叫びだしそうになるほどの不安と孤独感を憶えずにはおれない。
お彩は風呂敷を解いて、買ってきたばかりの半纏を父に渡した。
「お前―」
伊八は差し出された半纏を見るなり、絶句した。
「本当に身体だけには気を付けてね。おとっつぁん。おっかさんがあんなことになっちまって、また、おとっつぁんにまで何かあったら、私は今度こそ本当に一人ぼっちになっちまう」
たとえ血の繋がりはなくとも、それ以上の確かな繋がりで結ばれた父と娘であった。伊八がこの世からいなくなることを考えただけで、お彩は叫びだしそうになるほどの不安と孤独感を憶えずにはおれない。

