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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第16章 第七話 【雪花】 其の壱

「判った、おとつつぁん。何があっても、私は必ずここに帰ってくる」
お彩が言うと、伊八も笑顔で頷いた。
「それにな、お彩。人間ってものは、けして諦めちゃならねえ。父ちゃんだって、おっかさんと所帯を持つまでにも、持ってからも本当に色々なことがあった。だが、自分が相手に心底惚れているなら、とことん、その気持ちを貫けば良い。もし相手も同じ気持ちでいてくれるなら、たとえ叶わぬかもしれねえと思うような恋でもいつかは成就するさ」
かつて、お絹は他の男に手込めにされ、身籠もった。その男の子がお彩であり、伊八とお絹は所帯を持ってから、その酷すぎる現実にぶつかったのだ。しかし、伊八は、ひと度は絶望して身を隠したお絹を探し出し、説得した上で江戸で再び夫婦として暮らした。お彩は伊八の子として育ち、自分が伊八の実の娘ではないと知ったのは、つい一年余り前のことだ。
お彩が言うと、伊八も笑顔で頷いた。
「それにな、お彩。人間ってものは、けして諦めちゃならねえ。父ちゃんだって、おっかさんと所帯を持つまでにも、持ってからも本当に色々なことがあった。だが、自分が相手に心底惚れているなら、とことん、その気持ちを貫けば良い。もし相手も同じ気持ちでいてくれるなら、たとえ叶わぬかもしれねえと思うような恋でもいつかは成就するさ」
かつて、お絹は他の男に手込めにされ、身籠もった。その男の子がお彩であり、伊八とお絹は所帯を持ってから、その酷すぎる現実にぶつかったのだ。しかし、伊八は、ひと度は絶望して身を隠したお絹を探し出し、説得した上で江戸で再び夫婦として暮らした。お彩は伊八の子として育ち、自分が伊八の実の娘ではないと知ったのは、つい一年余り前のことだ。

