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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第16章 第七話 【雪花】 其の壱

「大切にするぜ、俺の方こそ、ありがとうな」
伊八はお彩の買ってきた半纏を肩から羽織った。
「少し小さすぎやしないかしら」
買ったときに少々手直しが必要かもしれないと思ったことを思いだしながら言うと、伊八は笑った。
「いや、これで丁度良い。今夜辺りは冷え込みそうだから、早速、助かるぜ」
伊八は満面の笑みで応え、お彩を改めて見つめた。
「お前も風邪なんぞ引くんじゃねえぞ」
その言葉に見送られ、お彩は甚平店を後にしたのだった。結局、上がり込みこそしなかったけれど、予想外に長居をしてしまった。
お彩は急ぎ足で「花がすみ」までの道をた辿った。その間も、脳裡には京屋市兵衛の姿が浮かんでは消えた。
伊八はお彩の買ってきた半纏を肩から羽織った。
「少し小さすぎやしないかしら」
買ったときに少々手直しが必要かもしれないと思ったことを思いだしながら言うと、伊八は笑った。
「いや、これで丁度良い。今夜辺りは冷え込みそうだから、早速、助かるぜ」
伊八は満面の笑みで応え、お彩を改めて見つめた。
「お前も風邪なんぞ引くんじゃねえぞ」
その言葉に見送られ、お彩は甚平店を後にしたのだった。結局、上がり込みこそしなかったけれど、予想外に長居をしてしまった。
お彩は急ぎ足で「花がすみ」までの道をた辿った。その間も、脳裡には京屋市兵衛の姿が浮かんでは消えた。

