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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第16章 第七話 【雪花】 其の壱

あの男にしておくのは惜しいほどの美貌、並の者とは思えぬほどの存在感、あれは紛れもなく「陽太」であった。
もし、この世にあれほど瓜二つの他人が存在すれば、赤の他人ということもあり得ようが―。
いずれにしても、陽太が自分とは住む世界の違う遠い人なのだと身をもって知った、まさに現実を突きつけられた瞬間だった。
これまでは陽太の素性が知れぬということに一抹の不安を憶えながらも、心のどこかで楽観的に考えていたところもあったのだ。
いつか陽太の住む世界と自分の住む世界が交わることもあるのではないか、と。
自分の不吉な想像はあくまでも物事を悪い方へとばかり考えようとするだけで、もしかしたら、お彩の考えるほどのことはないのかもしれない。陽太はかつて彼が言うように、小さな店を持つ商人で、独り身なのかもしれない。
もし、この世にあれほど瓜二つの他人が存在すれば、赤の他人ということもあり得ようが―。
いずれにしても、陽太が自分とは住む世界の違う遠い人なのだと身をもって知った、まさに現実を突きつけられた瞬間だった。
これまでは陽太の素性が知れぬということに一抹の不安を憶えながらも、心のどこかで楽観的に考えていたところもあったのだ。
いつか陽太の住む世界と自分の住む世界が交わることもあるのではないか、と。
自分の不吉な想像はあくまでも物事を悪い方へとばかり考えようとするだけで、もしかしたら、お彩の考えるほどのことはないのかもしれない。陽太はかつて彼が言うように、小さな店を持つ商人で、独り身なのかもしれない。

