この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第17章 第七話 【雪花】 其の弐

陽太の思いがけぬ正体を見てしまったあの日から、既に四日が経っていた。
一体、どうすれば良いのか、自分がこれから取るべき道は何なのか、お彩は皆目見当もつかなかった。まるで道に迷ってしまった幼子のような、おぼつかない心持ちだ。陽太の正体を知らぬふりをして、これまでどおりに過ごしてゆくのか。それとも、思い切って、自分があの男がどこの誰であるのかを知ったと告げるのか―。
だが、いずれにしろ、陽太はもう今年の春以降、お彩の眼の前には一度も現れてはいない。そう、この前にあの男に出逢ったのは桜の花が満開に咲き誇っていた頃だった。この和泉橋のたもとの、今、お彩がひっそりと佇む川原にぽつりと植わっている桜が薄紅色ま花をつけて艶やかに咲き匂っていた。
男の不実をなじろうにも、肝心の男がいないのでは、文句の言いようもない。
一体、どうすれば良いのか、自分がこれから取るべき道は何なのか、お彩は皆目見当もつかなかった。まるで道に迷ってしまった幼子のような、おぼつかない心持ちだ。陽太の正体を知らぬふりをして、これまでどおりに過ごしてゆくのか。それとも、思い切って、自分があの男がどこの誰であるのかを知ったと告げるのか―。
だが、いずれにしろ、陽太はもう今年の春以降、お彩の眼の前には一度も現れてはいない。そう、この前にあの男に出逢ったのは桜の花が満開に咲き誇っていた頃だった。この和泉橋のたもとの、今、お彩がひっそりと佇む川原にぽつりと植わっている桜が薄紅色ま花をつけて艶やかに咲き匂っていた。
男の不実をなじろうにも、肝心の男がいないのでは、文句の言いようもない。

