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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第18章 第七話 【雪花】 其の参

陽太がお彩を見た。
その手が躊躇いがちにお彩の華奢な手首を掴む。お彩はまるで魔法にかかったかのように、陽太に手を引かれて出合茶屋の長暖簾をくぐり抜けていた。
「むらさき亭」と暖簾に書かれた小さな茶屋の一つに入った二人は、二階の小座敷に通された。通りに面した肘掛け窓は閉め切っている。
枕屏風を引き回したその向こう側に、派手な色柄の布団がちらりとかいま見えた。初めて出合茶屋に入ったお彩は、その毒々しいほどに艶めいた雰囲気に固唾を呑んだ。本能的な恐怖心が身体の奥底からじりじりと心まで締め上げてくるようで、かぼそい身体をいっそう固くした。
その手が躊躇いがちにお彩の華奢な手首を掴む。お彩はまるで魔法にかかったかのように、陽太に手を引かれて出合茶屋の長暖簾をくぐり抜けていた。
「むらさき亭」と暖簾に書かれた小さな茶屋の一つに入った二人は、二階の小座敷に通された。通りに面した肘掛け窓は閉め切っている。
枕屏風を引き回したその向こう側に、派手な色柄の布団がちらりとかいま見えた。初めて出合茶屋に入ったお彩は、その毒々しいほどに艶めいた雰囲気に固唾を呑んだ。本能的な恐怖心が身体の奥底からじりじりと心まで締め上げてくるようで、かぼそい身体をいっそう固くした。

