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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第18章 第七話 【雪花】 其の参

一刻の後、町外れの出合茶屋の二階の小座敷は千尋の海の底のような静けさに満たされていた。
先刻まで閉め切っていた窓をはすべて開け放していた。お彩は窓枠に寄りかかるようにして、外の景色を眺めていた。
外はいつしか雪が降り始めていた。今年初めての雪だった。
「雪―」
お彩は鈍色の天を振り仰ぎ呟いた。
吐息が儚く凍てついた大気に溶けてゆく。
「道理で冷えると思ったな」
陽太がお彩の裸の肩にそっと長襦袢に着せかけてやった。
「こんな格好でいると、風邪を引く」
外の冷気はしんしんと容赦なく部屋の内にまで忍び込んでくる。陽太が障子を閉めようとすると、お彩はその手をそっと押さえた。
先刻まで閉め切っていた窓をはすべて開け放していた。お彩は窓枠に寄りかかるようにして、外の景色を眺めていた。
外はいつしか雪が降り始めていた。今年初めての雪だった。
「雪―」
お彩は鈍色の天を振り仰ぎ呟いた。
吐息が儚く凍てついた大気に溶けてゆく。
「道理で冷えると思ったな」
陽太がお彩の裸の肩にそっと長襦袢に着せかけてやった。
「こんな格好でいると、風邪を引く」
外の冷気はしんしんと容赦なく部屋の内にまで忍び込んでくる。陽太が障子を閉めようとすると、お彩はその手をそっと押さえた。

