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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第19章 第八話 【椿の宿】

二月(ふたつき)前に初めて膚を合わせた日のことを、お彩は忘れようとしても忘れることができないでいた。初めて男を迎え入れたお彩を市兵衛はずっと気遣い、労りを忘れなかった。三年もの間、ずっと慕い続けてきた男と晴れて結ばれた嬉しさもあってか、痛みもさほど苦痛には感じなかった。
市兵衛の方は生娘であったお彩を気遣い、その日は淡いものにとどめようとしたようであったけれど、結局、それは果たせなかった。やっと結ばれた二人の情熱はとどまることを知らず、二人は何度も高まりを迎え際限なく求め合った。
かれこれ一刻以上、膚を合わせた後、お彩は市兵衛と共にひそかに出合茶屋を後にした。二人共に帰る方向は同じだったが、人眼に立つのを避け、わざと逆方向に分かれて帰路を辿った。
市兵衛の方は生娘であったお彩を気遣い、その日は淡いものにとどめようとしたようであったけれど、結局、それは果たせなかった。やっと結ばれた二人の情熱はとどまることを知らず、二人は何度も高まりを迎え際限なく求め合った。
かれこれ一刻以上、膚を合わせた後、お彩は市兵衛と共にひそかに出合茶屋を後にした。二人共に帰る方向は同じだったが、人眼に立つのを避け、わざと逆方向に分かれて帰路を辿った。

