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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第19章 第八話 【椿の宿】

「友達っていやァ、その何だ、こんなことを訊くのは立ち入りするようで済まねえが、もちろん、男友達じゃねえんだろうな?」
喜六郎が訊きにくそうに言う。喜六郎はお彩を実の娘のように思い、気にかけている。その優しい気性や機転の利き、素直なところを気に入って、小さな飯屋を譲ろうと考えているほどだ。
お彩が「花がすみ」に奉公している間は、自分が父親代わりのつもりでいる。そんな喜六郎だから、お彩に悪い虫がつかないように常に注意は怠らないのだ。
つい一年ほど前まで、お彩に想いを寄せる伊勢次という若者がいた。「花がすみ」の常連の一人で、今時珍しいほどに真面目で陰ひなたのないところが喜六郎も気に入って、お彩の良い婿がねだと期待していた。
喜六郎が訊きにくそうに言う。喜六郎はお彩を実の娘のように思い、気にかけている。その優しい気性や機転の利き、素直なところを気に入って、小さな飯屋を譲ろうと考えているほどだ。
お彩が「花がすみ」に奉公している間は、自分が父親代わりのつもりでいる。そんな喜六郎だから、お彩に悪い虫がつかないように常に注意は怠らないのだ。
つい一年ほど前まで、お彩に想いを寄せる伊勢次という若者がいた。「花がすみ」の常連の一人で、今時珍しいほどに真面目で陰ひなたのないところが喜六郎も気に入って、お彩の良い婿がねだと期待していた。

