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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第22章 第九話 【夫婦鳥~めおとどり~】 其の壱

その翌日の朝。
お彩は伊勢次の住む長屋まで足を運んだ。
お彩の住む長屋や甚平店とも似たような、粗末な棟割り長屋の一角に伊勢次は住んでいた。
「ご免下さいまし」
遠慮がちに表から声をかけると、嗄れた声が返ってきた。
「はい、どなたですかえ」
多分、伊勢次の母であろうと思われた。伊勢次とこの母親おしほは血の繋がらぬ母子である。しかし、それを知るのは伊勢次だけで、母親は伊勢次が己れを母親だと信じていると思っていた。そのことを、お彩は伊勢次自身から聞いた。お彩が伊八の実子ではないことを知り、懊悩していた最中に伊勢次が教えてくれたのだ。
お彩は伊勢次の住む長屋まで足を運んだ。
お彩の住む長屋や甚平店とも似たような、粗末な棟割り長屋の一角に伊勢次は住んでいた。
「ご免下さいまし」
遠慮がちに表から声をかけると、嗄れた声が返ってきた。
「はい、どなたですかえ」
多分、伊勢次の母であろうと思われた。伊勢次とこの母親おしほは血の繋がらぬ母子である。しかし、それを知るのは伊勢次だけで、母親は伊勢次が己れを母親だと信じていると思っていた。そのことを、お彩は伊勢次自身から聞いた。お彩が伊八の実子ではないことを知り、懊悩していた最中に伊勢次が教えてくれたのだ。

