この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第23章 第十話 【宵の花】 其の壱

しかし、娘婿である陽太が市兵衛の手足となって動くことで、京屋は混乱に陥ることもなく無事に危機を脱した。その半年後、市兵衛が亡くなり、陽太は京屋の暖簾を継いで六代目市兵衛を襲名した。二十一歳の若さであった。が、京屋を襲った不幸は終わらず、その五年後、六代目を継いだ市兵衛の女房お市が二十七の若さで病死した。市兵衛は死んだ女房より一つ下の二十六になっていた。
六代目を名乗る市兵衛は先代に見込まれただけあって、やり手であった。二十一の若さで京屋ほどの大身代を継ぎながら、主人としての務めを申し分なく果たした。そのため、五代目の死にも京屋の屋台骨はいささかも揺れ動くことなく、六代目が当主の座に納まってからというもの、京屋は更にその身代を大きくしたともいわれている。
六代目を名乗る市兵衛は先代に見込まれただけあって、やり手であった。二十一の若さで京屋ほどの大身代を継ぎながら、主人としての務めを申し分なく果たした。そのため、五代目の死にも京屋の屋台骨はいささかも揺れ動くことなく、六代目が当主の座に納まってからというもの、京屋は更にその身代を大きくしたともいわれている。

