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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第3章 第一話-其の参-

今すぐにでも父の許に行くべきだと思ったけれど、流石にあんな頑なな態度を一年以上も取り続け、今更何もなかったような顔で甚平店に脚を踏み入れることはできそうにない。本当はただひと言「ごめんなさい」と頭を下げれば良いだけなのに、その簡単なことが実は容易ではないのだった。
父の優しさに甘えるわけではないが、今しばらくは少し距離を置き、いつかは必ず甚平店に行って、父にきちんと謝ろうと思う。多分、お彩が謝れば、父は黙って抱きしめてくれるだろう。そして、一度は絡まり合っていた感情の糸もすぐに解けるはずだ。それが血の繋がった父と娘というものだとお彩は思っていた。
お彩が今まで父に対して取ってきた態度から思えば、あまりに虫が良すぎるというものかもしれなかったが、お彩はこの時、伊八を真の父と心から信じて疑っていなかった。
お彩がぼんやりと物想いに耽っていた最中のことだ、突然、ポンと肩を叩かれた。
父の優しさに甘えるわけではないが、今しばらくは少し距離を置き、いつかは必ず甚平店に行って、父にきちんと謝ろうと思う。多分、お彩が謝れば、父は黙って抱きしめてくれるだろう。そして、一度は絡まり合っていた感情の糸もすぐに解けるはずだ。それが血の繋がった父と娘というものだとお彩は思っていた。
お彩が今まで父に対して取ってきた態度から思えば、あまりに虫が良すぎるというものかもしれなかったが、お彩はこの時、伊八を真の父と心から信じて疑っていなかった。
お彩がぼんやりと物想いに耽っていた最中のことだ、突然、ポンと肩を叩かれた。

